子ども小児歯科医院クリニックの間取りプラン平面計画設計図

つくば市の学園の森に、新たに子どもを主に診療対象とする「がくえんのもり小児歯科」を開設されることになりました。

開院する場所は賃貸建物の地上1階部分で、幅6メートル × 奥行10メートル、60m2(約18坪強)の整形なスケルトン状態の賃貸スペースでした。

医師先生のご希望は、診察台ユニットを2台 出来れば将来1台増設したいというもので、18坪強のスペースでは狭いのではないかと心配しておられました。

最終的には上記の間取りプランになりましたが、小児歯科医院の間取りプランは、以下のような順序で検討されて進められました。

必要な部屋と診察方針による使い方

はじめに、医師先生の診察方針と必要な部屋をお聞きして、各部屋と部屋とのつながりを確かめました。

さらに出来る限り細かく、診察方針と部屋の使い方をお聞きしました。こちらが分かると、自ずと部屋の大きさも分かってきます。

玄関

患者さんは来院されて靴を脱ぐか、下足のまま診察を受けるかは、医院内で子ども達は床に直に座ると思うので、靴を脱いでスリッパに履き替える方式を選ばれました。

これで玄関に多少の段差を設けることが出来ました。外部の土や砂は玄関部分で止めることができます。

靴を履き替えることを患者さんに分かってもらうためにも、玄関と待合室の床の材料を変えました。

また、賃貸建物には玄関とは別の勝手口はありませんでしたので、スタッフも玄関から出入りすることにされました。

待合室

診察は予約制ですが、患者さんは必ず複数名で来られるので、出来る限り広いスペースを確保するようご希望されました。

座る椅子も大きなソファではなく、気軽に持ち運びが出来るスツールが良いと思われておられました。

受付カウンター

賃貸部分の面積に対して、医師先生はご自分の要望が過剰であると考えておられたので、どちらの部分でも兼用したり余分な部分をなくして合理的なクリニックを目指しておられました。

受付カウンターも単独の機能だけでなく、歯磨きグッズの棚やカルテ棚、カルテ記入スペースを兼用させたいとお考えでした。

カルテ棚

可能な限り受付カウンターに近く、省スペースで収納量が多いものを望まれました。

トイレ

親と子どもが一緒に入り、用を足せることが求められました。

便器や手洗い器は、大人用と子ども用をそれぞれ設けることと、赤ちゃんのオムツ替えも出来ることが必要でした。

トイレは待合室に面してあることが良いとされました。

洗口台

出来れば診察室の片隅に、もしくは医師や衛生士の目の届く範囲に、間仕切りは不用でオープンで、診察前の歯磨きや歯磨き方法の指導が出来るスペースと親子の寸法のふたつの洗口台を設けるようご希望されました。

診察室

診察台ユニットを初めは2台で、可能なら将来もう1台追加したいご希望でした。

診察台と診察台の間には、間仕切りも目隠しとなる様な壁は不用で、子ども達が歩き廻るので、見渡せることが必要として、オープンな診察室をご希望されました。

ただ、診察台のひとつは、長い時間治療を行う場合に備えて、普段は隠されているもので覆い仕切れる方法を要望されました。

X線室

はじめからレントゲン機器は定まっておられ、X線室の内側の最小寸法は分かっていました。

寸法は1.8m × 1.3mで、最終的には、この寸法が間取りプランの寸法を定めるきっかけとなっています。

相談室

患者さんご家族に、診療方針の説明や費用の相談、検査の結果を説明する部屋として設けるご希望でした。3~4人が話し合えて、モニターを見れるようにするご希望でした。

消毒室

使い終わった治療器具を洗浄滅菌して、次の診察に揃える方法を、使用導入する機器を教えていただきながら、無駄のない広さで作業できるように求められました。

医局スタッフルーム

他の部屋の確保を優先して、スタッフルームは小さくなっても止むを得ないとお考えでした。ただし最小限、着替えるスペース、洗濯機を置くスペースは維持して、スタッフ用のトイレは診察室から入るのではなく、スタッフルームの中から入っても宜しいとしてくださいました。

歯科医院の診療方針を間取りプランに反映させる

上記のような各部屋に対するご希望をいただいて、さらに医師先生からは間取りプランのメモもいただき、複数の間取りプランの案を作成しました。

  • 子ども達は好きに歩き回るので、見渡せるような診察室にする
  • 待合室と診察室もなるべくオープンにする
  • 子ども達に触れさせてはいけないものは上部に置く
  • 診察台の周りには余裕を確保して、家族が周りで見守れるようにする
  • なるべく待合室と診察室が広く感じれるようにする

というご希望もありました。

複数のプランを並行して検討されて行きました。

模型を見てプランを決める

複数のプランを一つにしぼる際は、インテリアの模型を作り、その見た目の印象を確かめることで決定されました。

消毒室・X線室・相談室・スタッフルーム・トイレ を、全体の片側に並べて、「待合室と診察室が広く感じれるようにする」というテーマがカギになったようです。

 →関連記事「小児歯科医院の内装設計を模型でインテリア確認」

診察室を区切る

2台の診察台のうち、1台は長時間の治療が必要な時がある場合に、一番奥の診察台を他と区切りたいご希望がありました。

設計当初は間仕切り引戸が数枚収納されていて、区切りたいときはその引戸を引っ張り閉じる方法を検討しましたが、上から吊られる引戸よりカーテンの方が、子ども達には安全で、予算の面も含めてカーテンで仕切ることになりました。

診察台を増設する準備・スペースと配管

開院当初は2台の診察台ユニットでスタートして、できれば将来もう1台増設したいご希望がありました。

そのためには、3台目のスペースが確保されていることが必要で、待合室の広さとのバランスをみて調整されました。

診察台ユニットの大きさと周囲のスペースの確保が確かめられて、3台目のスペースが確保できることになりました。

将来の設置のために、床下にはあらかじめ設備配管を設けておきました。配管が集約されている部分の床は点検口にしてあり、中が覗けるようになっています。

ユニットを斜めにした

診察室の診察台ユニットの周りには診察中、医師先生、衛生士の他に、患者さんのご家族(お母さん、兄弟姉妹)が付き添う場合が多いようです。その方々のスペースと診察室をより広く利用するために、診察台ユニットを部屋の壁と平行にしないで、斜めにしました。

斜めにすることで、前後に余裕が生まれ、壁と斜めのユニット囲われた部分に患者さんのご家族が座って付き添える場所が出来ました。

扉の使い方とこども対策

扉は子供達に一人で入って欲しくない場所に設けました。

また可能な限り引戸を選んで取り付けました。開き戸の指詰め防止と、引戸の閉まる時に急激な速さで閉まらないようにするための金具が一般的になり引戸の安全性が向上したためです。

開き戸にした部分は、上下をなるべく開放して、子どもが挟まれないようにしました。

 →関連記事「小児歯科医院の消毒室のスウィングウェスタン扉」

受付カウンターの位置

受付カウンターをどちらに配置させるかが、複数の検討プランが作成できた理由です。

  • スタッフルームや相談室に隣接する場所
  • スタッフルームや相談室の反対側の壁に接する場所
  • スタッフルームや相談室にも隣接せず、反対側の壁にも触れない真ん中

最終的には、省スペースと待合室の広さの確保を考えて、スタッフルームや相談室に隣接する場所になりました。

 →関連記事「小児歯科医院の受付カウンターと商品棚」

スタッフルームには受付カウンターを通らないと入れません。スタッフルームには貴重品も預けるので、子ども達が直接入ることが出来ないようにしたためでもあります。

商品棚

歯磨きの道具や口内の医薬品を陳列する場所を設けました。特に子ども達は、歯磨きの道具を習うので、医師先生が推奨する歯ブラシを買い求めて行かれます。

ただ、子供達が手が届いてしまうと落としたり、開封してしまったりするので、大人のみ手の届く場所に棚を設けました。

 →関連記事「小児歯科医院の受付カウンター壁面グッズ商品棚」

カルテ記入台

医師先生のカルテの記入はパソコンで記入されます。

(1)記入するパソコンを沢山置いてどこでもキーボードが打てるようにする
(2)移動式のタブレットを持ち歩いて、都合の良いところで打つ
(3)パソコンは1台にして、記入台を設ける

最近では選択肢が広がっていますが、今村先生は(3)のひとつのパソコンで記入することを選ばれ、記入する場所を、受付カウンターの端に選びました。

また、

  • 立って記入する
  • 座って記入する

の、選択は、

座って記入する方式として、受付カウンターの端の部分に座ってキーボードを打つ高さの記入台が設けられました。

 →関連記事「小児歯科医院のカルテ記入台スペース」

カルテ棚

カルテ収納は受付カウンターの背面に扉付きの収納棚にされました。隣接するスタッフルームに全て置いて、安価な収納棚に収めることも検討されましたが、往来が煩雑になるのと、出入り口から診察室への多少の目隠しも兼ねて、受付カウンター背面に設けられました。

 →関連記事「小児歯科医院のカルテ収納棚」

台の高さ

子どもと大人の台などの高さを変えました。

  • 洗口台
  • 手洗い台
  • 大便器と紙巻き器付き手すり

の高さを、あえて変えて、子ども達もスムーズに器具が使えるようにしました。

待合コーナー

待合コーナーは出来るだけ広く確保することが求められました。椅子は簡単に移動ができる軽さのものが選ばれて、自由に家族で待っていただくことにしてあります。一部には床にマットを敷いて、子ども達が自由に遊んで待てるようにもしてあります。

 →関連記事「小児歯科医院の患者待合室コーナー」

窓壁

広いクリニックの印象を保つために、待合コーナーと診察室は敢えて壁で仕切らずに、一部をカルテ棚、一方を窓状になった壁を設けることで、待合コーナーから直接診察室に視線が通らないようにしました。

 →関連記事「小児歯科医院の待合室受付診察室区切る窓壁扉カルテ収納棚」

窓壁の際には、多少の読み書きが出来るような突き出しの机を造り付けていただきました。低学年高学年の子ども達の学習机にも慣れます。

手洗い作業台

診察台ユニットの背面には、

  • 手を洗う
  • 治療道具を置く
  • 治療道具を収納する

ための台を造り付けました。

立って作業する高さの台に、手を洗うシンクを設けて、台の下には、

  • 引き出し
  • 扉収納
  • 移動キャビネット

が、収まるようにしました。

台の上には壁面に吊り戸棚を低い高さに取り付けて、使っては捨てる治療器具を収められるようにしました。

消毒台

使用した治療器具が順次洗浄殺菌されるために機器道具が並べられる消毒室を、診察室の隣に窓のある部屋に設けられました。

消毒台はできる限り既製品の洗面台などを並べて、丈夫で長持ちな安価な器具から選びました。

相談机

ご家族と医師先生だけで、患者さんの診察した内容や診療方針を説明したり、診療の金額をお示ししたりする相談室は、診療室に面したX線室の隣に設けられました。机の上にモニターを置いて、撮影したレントゲン写真を写したりしながら説明するお部屋です。

診療後は、医師先生が書類などをまとめる部屋となります。

 →関連記事「小児歯科医院の患者様カウンセリング相談室」

以上のようなご希望→間取り検討→詳細設計内容で、小児歯科医院の間取りプランが定まりました。

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