成人対象感染症医院診療所クリニックの内装設計間取りプラン

新橋で新たにクリニックを開院される医師先生からご相談をいただきました。

はじめのご相談は「候補となっている賃貸場所でクリニックを開院したいが、内装工事で問題となるところはないかを確かめてほしい」というご相談でした。

同時に候補となっている場所は前の業態が整骨院で、天井に届かない間仕切り壁が組み立てられていて、その間仕切り壁レイアウトがそのまま流用できないかどうか? というご質問もありました。

既存クリニックを居抜きで継続するか?スケルトンにして内装工事か?

現地を確認させていただくと、新たにクリニックを開院されたい医師先生のご希望と以下の点で違いがありました。

  • 既存の間仕切り壁は、医師先生ご希望の間取りプランには合わない
  • 天井下が開放されている間仕切り壁はそのまま利用出来ないのでふさぐ必要がある
  • 天井下の壁の開放をふさぐと、天井に付いている照明やエアコンはほとんどが付け直しになる

上記の理由から、内装は既存を撤去してスケルトン状態にして内装工事を行う方針になりました。

既存の内装で再利用出来る部分を確認する

既存の内装間仕切り壁は、継続利用が出来ないことは分かりましたが、天井は既存の下地と表面材を新しい内装の下地として継続利用出来ることは確かめました。

エアコンは既存の天井埋め込み型器具を継続利用することとして、既存の器具だけでは賄えない場合には器具を追加することにされました。追加する際の室外機置場も確認しました。

水回り設備トイレの位置

水回りトイレの位置は、給水管排水管の位置で決まるので、移動はしないで同じ場所で改装することになりました。

手洗い台や、消毒シンクは給水管排水管の取り回しが出来る範囲に設置することになりました。

既存内装の解体工事に立ち会い

既存 (前の賃貸者) の解体工事は賃貸契約上は借り始めた時の状態に戻すことになっていました。

その内装材を全て撤去することが前提ですが、これから借りる立場として、そのまま残して継続利用することが出来るならば、時間と費用が節約出来ます。

前の借り主さんにとっても、これからの借り主様にもメリットです。

双方合意の上、大家さんにもご理解を得て、内装の一部を解体しないで継続利用することになりました。

壊す範囲を指定する

既存内装 (前の賃貸者) の解体工事が始まる際に立ち合わせていただき、解体撤去しない部分のお願いと説明をさせていただきました。

今回残して継続利用する部分は、

  • 天井板材とその下地組
  • 天井埋め込みエアコン

で、その他の撤去していただきたい部分を説明させていただきました。

間取りプランがあるから指定できる

このようなお願いが出来たのは、事前に新たなクリニックの間取りプランを検討・作成しておいたために、既存内装の何が必要で再利用できるかが判断できました。

新規内装工事費用を安くするために

既存内装の継続利用をお願いするのは、

  • 前の賃貸者にとっても解体撤去量が減る
  • 新たに改装する医師先生にとっても内装工事量が減る

という双方の利益が一致するために同意をいただけるものです。

賃貸契約上の「既存復旧」を守れば、撤去処分の費用と、新規内装の費用は重複して掛かります。

間取りプラン

間取りプランはご相談をいただいてすぐに、検討・作成していました。描いたプラン自体はまだ未確実でしたが、現地確認はこのプランがあったために「既存の内装を残すべきか撤去すべきか?」の判断を可能にしました。

にじいろクリニック新橋間取り平面プラン

個別プライバシーを確保した待合室

医師先生のご希望から、待合室は座って待つ患者様の各々が、

  • プライバシーが確保出来ること
  • 感染症拡大防止の対策が取れること

が求められました。

医師先生のアイデアもあって、患者様は待合室の外周に向かって座り、各々の間には隔て板を設け、目前には台があって、各個電源コンセントを設けることにされました。

一方通行で診察室→処置室→受付に戻れる間取りプラン

患者様の動線は、待合室→診察室→処置室→受付待合室、と一方通行で巡ることが出来るようになりました。

動線が逆流しないことで、診療の効率を高め、患者様の混乱を抑制出来るようにしました。

手洗いカウンター

患者様用の手洗いカウンターをどこに設けるかの検討がなされました。

位置の条件は、

  • 出入口に近いこと
  • トイレにも近いこと
  • 患者様の視線から見えること

と言うもので、間取りプランの位置関係から、出入り口入った右側に患者様から見える場所に設置されました。トイレの直近で、給排水の設備配管も接続することができる場所でした。

出入口から見える位置に手洗い洗面台を敢えて隠さず開放して設置したのは、クリニックに入り、直ぐに手洗いをお勧めることが出来るためです。

広いトイレ

トイレは来院される患者様が各自大きなカバンなどを持参されることを想定しているのと、その所有物も待合室に置かずに一緒に持ってトイレに入るとして、各室は可能な限り広くしてカバンを持ち込んでも邪魔にならない様にしました。

出入口扉は引戸型

診察室や処置室に出入りする扉は、医師先生のご希望から引戸型にされました。扉を引戸にする場合は、戸が開く際に収納される壁際場所が必要になり、間取りプランを検討するときから採用することを前提にしないと出来ない場合が多いので注意が必要です。

内装インテリアデザイン

間取りプランの細部を検討・確認しながらも、インテリアデザインの検討もご希望と課題をお聞きしながら進められました。

課題は・・・

医師先生の課題とご希望は、

  • 周囲の繁華街が見えるので見えないようにしたい
  • プライベートを出来る限り確保する
  • 部屋は明るく広くしたい
  • 室内下方に大きく張り出す梁があり邪魔にならないようにしたい
  • 成人が利用する内装で良い

とのことでした。

間取りプランの全体構成

間取りプランの構成を内装インテリアに反映しようとして、全体医院の中に診察室・処置室がまとめられて内包されている=待合室で囲われている様に構成しました。

診察室・処置室の箱は木目の壁面が貼られて囲われています。そして周囲を待合室で囲んでいます。

診察室・処置室の箱と待合室の中間的位置に受付カウンターがあります。受付カウンターは診察室・処置室の箱の一部が欠き取られた部分で、木目の箱壁が切り取られた形になり、円弧のカウンターでふたをされています。

欠き取られた木目の箱壁の一部はカウンター上部にひと皮だけのこり、間接照明が仕込まれました。

受付カウンター

受付カウンターの形状は、

  • どちらの場所でも内側のスタッフ様が患者様と相い対して応対が出来ること
  • 待合室へ または手洗いトイレへの動線がスムーズなこと

を念頭にしたため、円弧の形になりました。カウンターを円弧にすると、内側の移動距離は短くなって少数でも対応や容易で、外側の長さは長くなってよりカウンターが長く感じられます。

間接照明

既存のテナントを見させていただいた際、天井が低く大きな梁の露出に圧迫感を感じられました。そこで、院内がより広く感じられる様に求められた待合室では、扉の上端高さまで木目調の壁仕上げを施して、それより上を白色の壁にさせて、目線より上の白色の部分を下から照らす間接照明を施すことで、暗くなりがちな壁の上部や天井を明るくさせました。すると部屋全体が明るい印象となり、より広く深く感じられるように演出しました。

にじいろクリニック待合室アクリル個室

また照明の光源が見えないことで、柔らかな照明環境となって、より上品な待合室空間になれたと思います。

医院名看板

クリニックのロゴデザインは、医師先生から頂いたデータを使用しました。受付カウンター背面の壁面に、ロゴデザインを切り抜いた板を浮かせて貼り付けて、裏側に照明を仕込んでより目立つロゴデザインにして、受付のアクセントにしました。

にじいろクリニック新橋性感染症医院

待合室

待合室では複数の患者様が診察を待つためにある時間同居します。診療の科目の性格上、患者様同士はプライベートを確保できるよう、可能な限りお互いに目と目が合わない様にされました。

視線を合わさない座り方

待合室では通常、受付カウンターや内側に向かって患者様は座り、診察を待つように椅子が並べられています。こちらでは患者様同士が視線を合わさないように周囲に向かって座るように椅子を配置されました。患者様がと患者様は背中を向け合うように座ります。

個々を仕切るアクリル板

患者様と患者様の間には不透明のアクリル板が設置されました。昨今の新型コロナウィルスの感染拡大防止の為でもあります。

カウンターと電源コンセント

周囲外側を向いた患者さんは壁面を見るように座りますが、それだけでは座りにくいので、壁面から突き出したカウンターを設けることにしました。そちらには電源コンセントを設けて、パソコン作業や携帯の携帯電話スマートフォンの充電ができるようにしました。

待合室の椅子

待合室の椅子は、椅子自体が邪魔になっては待合室が狭くなってしまうので、小型の椅子を選んでいただきました。「シェル」と呼ばれるデザインチェアで、様々な色が混ぜてお選びいただきました。

内装材の選定

間取りプランの決定の後、実際の内装インテリアの調子を定めることとなる床、壁、天井の材料について、医師先生のイメージを確かめながら検討、選択、決定されました。

パースを利用する

平面図や展開図といった白地に黒の線で書かれた図面だけではなかなか内装インテリアのデザインや色彩、素材をイメージしていただくのは困難です。

そこでご希望いただいた場合には立体的な完成予想図と言えるパースを作成し検討していただいています。

はじめは白黒で、ご自身の内装のイメージ色が湧きましたら、色彩や素材が貼られていきます。

全体の調子を合わせながらご希望を聞いて理想に近づけていきます。

にじいろクリニック新橋性感染症医院

サンプルで確認する

パース(完成予想図)に使用させていただいた色彩・素材は、実際に実在する材料から選ばれています。パースの中で全体調子がお気に召した所で実際の材料のサンプルを取り寄せて、最終的な使用材料の確認をしていただきました。

方針

内装インテリアに方針については、明るい木目を基調として、白色を入れて、全体が明るく清潔に見える様にとのご方針で、色彩・素材が定められました。

扉の色

扉の素材は、

  • 患者様が利用する扉を木目調
  • スタッフのみが使用する扉を白

にして、患者様に進まれる方向を案内する際に扉の方向を案内して、認識し易いようになされました。

保健所に診療所開設と届出の事前相談

間取りプランが定まった時点で、保健所(今回は港区保健所)に参り、間取りプランについて問題がないかを相談し、問題ないことを確かめました。

尿検査コップ受け渡し小窓

患者様の尿を検査するために、患者様にクリニック内で尿を採っていただくことがあります。

患者様にコップを渡して、トイレで採尿してもらいます。尿の入ったコップはトイレから持ち出ずに、患者様が出入りする扉の横に小窓を設けてそちらに置いていただきます。

窓にはトイレ側、通路側の両方に1つずつ扉がついていて、通路からトイレの中が見えないようにしてあります。扉自体は不透明のアクリル板で、小窓の中に置かれたコップは見えるようになっています。

照明

クリニック内の照明は待合室と診察室とで区別し.照明の色温度を分けました。

待合室や受付カウンターの照明は、患者様にリラックスしていただくためにも温かみのある温白色(3500ケルビンくらい)としました。

診察室や処置室は、明るさと清潔さを強調するためにも昼白色(5000ケルビンくらい)てしました。

電源コンセント

クリニック内の電源コンセントの位置は医師先生のご希望と確かめにより各所に設けられました。

診療用のコンセント

診察室や処置室には、医師先生の使うデスク、処置が行われるベッドや椅子の直近に設けられました。

受付カウンター

カウンター内には様々な電気器具が利用されます。すべての器具に対するコンセントは設けずに、一定の間隔をおいてコンセントをカウンターの側面に設けました。

待合室

待合室の患者さんが座る前のカウンターには、患者さんが診察を待つ間、スマホや携帯電話を利用して待っていただくことを考えて、各ブース1つずつ電源コンセントが設けられました。パソコン作業や携帯電話の充電に利用していただくためです。

院内ネット環境

診療用の院内のネット環境は、有線のネットケーブルでつなげるものではなく、Wi-Fiを利用した無線LANでつなげる環境にされました。利用するパソコンも移動式のノートブックやタブレットが多いと想定されたためです。現在のネット環境が無線でも安定した環境が整えられることが前提となっています。

患者様用の待合室におけるWi-Fiも別に設けられていて、患者様も自由にインターネットが利用することができます。

院内看板サイン

院内の内装工事の最後に、医院看板や内部誘導表示のサイン工事が施されました。

玄関扉

建物本体のエレベーターを降りると玄関扉が見えます。玄関扉は周囲に縁があって中がアクリル板になっている扉です。アクリル板は不透明で内側がうかがえない様になっていて、アクリル板に、クリニック名・診療曜日時間が記されています。

受付壁アクセント

玄関扉を入ると直ぐに受付カウンターに面します。カウンターの背景の壁に、クリニックのロゴデザインの板が壁面から浮く様に取り付けられました。中に照明を仕込んで、受付カウンターのデザインのアクセントにされました。板はアクリル板を加工して表面にカッティングシートを貼ったモノです。

各室扉表示

院内の診察室をはじめとする患者様が利用する部屋は、出入りする扉を木目調にして、その扉に部屋名を記載しました。部屋名はカッティングシートを加工して貼られました。

トイレピクトサイン

トイレには、各室名表示と同様に、トイレのマーク=ピクトサインが貼られました。

待合室の椅子

クリニックの内装インテリアをあえてシンプルにされたので、移動できる椅子や調度品は色彩のあるモノを選んでいただく様、医師先生にはお勧めしました。

待合室の椅子は、視線を遮ることのない脚が細い「シェル」と呼ばれる椅子をお選びになり、さらに背と座が落ち着いた数種の色が混ざる椅子を選ばれました。

ホームページ

クリニックのホームページはあらかじめ内装工事の段階から作成され進められていました。クリニック開院と同時に公開されました。サイトが認識されるには時間を要するので、可能な限り前倒しでサイトを組み立てて公開することをお勧めしていました。

にじいろクリニック ホームページ

保健所の立会い検査

内装工事が終わり開院された後、保健所に「診療所開設届」が提出されました。保健所が現地検査を行い、合格されました。

医院クリニックの無料相談・お問合せ

北島建築設計事務所の実績解説をご覧いただき、誠にありがとうございます。北島俊嗣の30年を越える設計業務経験に基づいた設計実績解説は、お客様の家づくりや建物のお悩みの解決にお役に立てたでしょうか。


設計業務で蓄積させていただいた、間取りプランの作成・確実な法的届出・工事予算抑制の工夫・防音や断熱の技術・空調や照明の知識 などを存分に利用していただくことで、お困りの課題を解決して、予算の範囲で〈患者さんに確かな診療や治療を行う医院クリニック〉を実現して下さい。


ご相談は無料です。ご相談をいただいても直ぐに費用は発生しません。。ただし 間取りプランの検討や作成など 間取りプランの作成や工事金額の試算などで費用が発生する場合は事前にご説明し、ご納得いただいてからになります。ご相談には責任あるお応えをさせていただきます。


お問合せは、相談フォーム(下のボタン)から、または電話、メール、どちらでも構いません。ご相談は無料です。


電話:045-721-6566
メール:info@kitajima-architecture-design.jp
(タッチして つながります)


無料相談・お問合せ