和風数寄屋二世帯住宅の雨樋の無い軒先の屋根雨水排水処理

屋根に降る雨水の排水処理

和風数奇屋二世帯住宅の屋根に降った雨水の処理方法は、長い時間を掛けて建主様にお考えいただきました。

勾配角度がついた屋根に降った雨水はそのまま屋根を伝い下流に流れ落ちます。通常は屋根の先端に、流れ落ちる水滴を集めるために「樋(とい)」と呼ぶ半月状の管を水平に取付けます。

ただこの樋は工夫を凝らして造った屋根の先端部分の造作を覆い隠してしまいます。

実際に雨が降っているときは、屋根の下から出ればどこでも雨水が空から舞い落ちて来て、人は傘を差すので、屋根から落ちる雨水も空から舞い落ちる雨水も区別なく気になりません。

しかし雨が上がると傘を仕舞いますから、そのときに屋根から落ちる雨水に人は当たりたくない様です。(前職の「京都国立博物館 南門施設」の工事監理における経験より)

そこで家族が行き来する玄関部分の屋根部分には雨樋を設けて、雨水がいつでも落ちて来ない様にして、左右の縁側部分は樋を設けずに地面に落ちる様にして、地面に排水溝を設けて雨水を受けて排水する様にしてはどうかと提案していました。

雨樋か垂れ流しか

屋根先端に取り付ける雨樋は、古典建築などになると竹竿を割って節を削り取ったものや、銅板を小さく曲げて加工して、申し訳程度に華奢に取り付けているものを見たりします。

建主様には長い時間を掛けて実例を紹介して、「数奇屋建築の屋根の先端には雨樋を付けないことがある」ことを理解していただきました。

 ▷関連解説記事 →「和風宅の数寄屋外観屋根デザイン」
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         →「和風菓子店舗建物の勾配切妻屋根意匠と本瓦金属板噴き材料」

雨受け排水側溝の瓦見切りと玉石

屋根の先端の雨水受けに落ちた水は地面に埋めらた排水管に流れるようにしてあります。雨水受けには周囲の縁取りに既存建物の屋根瓦をならべて、中に黒色那智石の玉石を敷き詰めて、雨が降ると黒光りするようにしました。

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