横浜野毛桜木町地下鉄道駅地上階段出入口屋根建替え設計協力

JR 京浜東北線 桜木町駅 と 野毛地区を地下道で結ぶ地下街で、地上に上がる階段部分の既存 鉄筋コンクリート造の屋根が老朽化して、地上屋根部分を取り替えることになりました。建て替え設計についてご協力をさせていただきました。

歩道にある地下鉄道駅の出入口屋根

地下道から地上に、歩道から地下道に入るための階段には雨が掛からないように屋根が設けられていました。

屋根は地上と地下を結ぶ階段の上部を覆っていて、3つの壁柱で支えられていました。

壁柱以外には階段に落ちないための壁手摺りが付いていました。

壁柱、手摺り以外は外気に開放されていて、風が強い日には風雨が入口や窓から階段地下に入り込む状況で、階段下には排水口が設けられていました。

夜間の進入防止開閉区画は、階段途中にシャッターが取り付けられていました。

鉄筋コンクリート造の老朽化

地下道出入り口階段屋根は鉄筋コンクリートで造られていました。

既存の地上部の鉄筋コンリートは外気に触れていて、屋根や壁柱は風雨に直に当たる状況でした。

そのためか経年で鉄筋コンクリートの劣化度合いが強く、ひび割れが多く見られ、屋根にあっては撓んでいることも目視で確認できました。

同じ形で復元

そこで、地面より下部の基礎や階段はそのままにして、地面より上部の柱と屋根について造り替えられることが求められました。

地下の基礎をそのままにする事は、造り替えられる地上の柱や屋根は同じ形で復元されることも求められました。

ただし既存の構造物よりも軽量にすることも求められたため、以下のような検討が進み、設計がまとめられました。

既存より軽くする

地面より下部の地下構造物=基礎についてはそのままにして、地上上部上屋を造り替えるので、既存上屋より軽くすることが絶対的条件でした。

幸い上屋は鉄筋コンクリート造と重い構造物でしたので、これ以外の構造架構で骨組みを形成し、軽量の仕上げ材を付加する方針にしました。

アルミハニカムパネル屋根
(屋根材構造材軒天井材をひとつのアイテムで担うアルミハニカムパネル)

上屋を既存コンクリート造より軽量化する場合、骨組み+仕上げ材 を 組み合わしていけば、結局は重いものになってしまいます。そこで、3箇所の壁柱は必要最小限の大きさにして骨組みとし、その上の屋根を既存の鉄筋コンクリート造とは圧倒的に軽いものにすることにしました。

屋根の骨組み+屋根防水+天井仕上げ をひとつの材料で構成出来るものが選ばれました。

それはアルミハニカム製の屋根材で、3つの壁柱に乗る厚み100ミリの金属板です。この板は 構造骨組み+屋根防水+天井仕上げ になります。

アルミハニカム板は、薄いアルミ板を6角形に折り広げ、その上面と下面をアルミ板で挟んで接着して蓋をする形の板です。

軽量で、柱と柱の長い間隔も支えることが出来、上面は雨水の防水屋根となり、下面はそのまま天井になれます。

近隣施設と同様の仕上げ材

今回建て替えられる上屋の周辺には、地上と地下を結ぶ階段やエレベーターシャフトがいくつかありました。発注者様からのお願いで、今回建て替える上屋の外観材料については、周辺の上屋と出来る限り同じにして欲しいとお願いがありました。

外観材料は以下のものがあります。

  • ガラス窓の金属枠
  • 自然石
  • 金属屋根

これらを既存の施設と同様の素材色彩にすることになりました。

横浜野毛桜木町地下鉄道駅地上出入口階段屋根

地下に雨が入らないようにする

地下道に通じる階段は、屋根はありますが、常時開放されています。屋根はありますが、沢山の雨が降って集まれば、雨水が入ってきてしまう状況にあります。

利用者の往来を妨げないで、雨水の流入を防ぐために、いくつかの雨水流入防止対策が取られました。

出入口部の床

最近では、短い間に大量の雨が降る「ゲリラ雷雨」と呼ばれる集中降雨が起こります。

短時間に降った大量の雨は、道路の排水口に集まることなくその場に溜まります。

溜まった水はとにかく下方へ流れますが、床が平らであれば、開放されている階段にも流れ入ります。

階段のある床は歩道にあるので、歩道は車道よりも高い位置にありますが、歩道に降った大量の雨は階段に入りかねないので、階段の始まる部分の床を周囲の歩道の床より、1段 段差を設けました。

直近に上下出来るエレベーターがあるために出来た対策です。

壁防水

歩道から階段に落ちないように、歩道と階段の際にはコンクリートの立ち上がり壁手すりが設けられました。

このコンクリートは、新しいコンクリートなので、既存の地下のコンクリートとの間には、水分は通してしまう隙間はどこかに生じます。

そこで歩道に降った雨水が染み出してこないように、歩道の地下コンクリートと立ち上がりの壁手すりの外側に、屋根の防水で用いられる塗布防水が施されました。

洪水時の防潮板

大量の雨が降り、雨水が排水処理できなくなると雨水はどんどん溜まっていきます。

溜まった水は解放されている階段下に流れを落とします。

階段を雨水が流れ落ちてしまうと、地下で事故が起こってしまいますので、押し寄せる雨水を階段下に流れないようにするために、防潮板を設置できるようにされました。

仕組みは単純で、階段の1番上の開放されている部分に、雨水が押し寄せないように板を差し込む仕組みです。

板を差し込むのは手動で行われますが、あらかじめ板を差し込む両脇に金属の枠を固定しておきます。

この金属の枠に、他の場所に置いてある金属の板(今回は手動設置を簡単にするために軽量で頑丈な板=アルミハニカムパネル板)が用意されました。

階段床の擦り上げ、手すり壁の防水、防潮板によって、多重の防水対策がなされました。

夜間の照明

階段の照明器具は可能な限り器具数を限定して、柱や屋根の構造体に埋めることのなく設置するようにとの指定で、検討されました。雨水などの影響を受けないようにしたいという理由でした。

歩行利用者の目にまぶしくなく、階段の段々をしっかりと照らせることができるように、階段中央部分の壁面に照明器具を設置して、壁の金属板および天井の金属板からの反射を利用して、全体を明るくする方針としました。

夜間の閉鎖管理

日時の変わる夜間には、地下の利用も閉鎖されるので、利用者が階段を降りないようにする管理用シャッターが必要です。

シャッターの位置と種類

既存の管理用シャッターは、階段を半分下がったところにありました。このため、夜間には階段を降りたところに人がとどまってしまうことがよくあり、シャッターを上下する際の安全性からも、この場所以外で管理用シャッターを設置するようにと求められました。

今回は、階段の最上段の部分に設けられることになり、左右の壁、手すりの上にも、ガラス窓が設けられて、夜間の閉鎖時に階段の下に利用者が止まってしまうことがないようにされました。

今回は、階段内の様子も伺えるようにと、すだれ状のリングシャッターが取り付けられました。

シャッターボックスに内照式看板

シャッターボックスの外側には、箱の中から照明を当てる内照式のアクリル板製の看板が取り付けられました。

階段下は横浜市営地下鉄の桜木町駅に通じているので、地下鉄駅の表示が取り付けられました。

横浜野毛桜木町地下鉄道駅地上出入口階段屋根

構成はとてもシンプルで要素の少ない建屋ですが、たくさんのご要望を反映して設計された施設になれました。

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