地下水排水対策用外壁二重壁基礎ピット排水釜場ポンプ点検口

東京にある設計事務所「古橋建築事務所」様が設計・監理をされた「昭和女子大学キャンパス内『西体育館』(屋内プールと体育館)」の意匠設計と工事監理を協力・担当をさせていただきました。

13年前に建てられた屋内プールと体育館の施設建物が、大学の新方針によって建て替えられることになりました。敷地内により多くの学生さんを受け入れる教室建物を設けるためです。

敷地の制約から屋内プールと体育館は上下に配置されることになり、地下に屋内プール、地上に体育館が配置されることになりました。

地下室に進入する地下水の処理

地下の屋内プールの計画で、一般的に地下室内部は、地下水が進入して来たり、換気が不十分だったりして、湿った環境になりがちです。設計では、地下水の進入を防水で防ぎ、例え進入してしまっても、目に見えない部分で処理出来るように排水ルートを設けています。

さらに排水ルートは、常に点検出来るようにして、乾燥状態であったときから、どこから地下水が進入して来てしまったかを判るようにしてあります。

外壁二重壁

どちらの外壁から染み入ってしまうか予想が出来ない進入水は、外壁の内部側壁面を垂れて落ちて来ます。

そこから内部に進入させないために、厚みの薄いコンクリート製の板で壁を設けて二重壁にして、水分を閉じ込めます。壁の一部には点検扉が付けられて、いつでも開ければ内部を確認出来ます。

二重壁の最下部はコンクリートで立ち上がりを造り、防水処理を行なって地下水が室内側に入らない様にしてあります。

この立ち上がりに落ちて来た地下水は、さらに床下の地下ピットに落ちるように小さな穴が床に開けられています。

地下ピット

外壁面の二重壁内から地下ピットまで下りた地下水は、地下ピットの底板の水が流れるために付けられた緩い勾配により一箇所に集められます。

排水ピット釜場

排水ピットの一部にさらに穴を掘ったような場所(約60センチ立方)を設けます。進入した地下水はここに集められ、予め設置されている「排水ポンプ」によって組み上げられ排水されます。この穴を「釜場(かまば)」と呼んでいます。正に建物の最底部にあります。

釜場の上には、排水ポンプを点検するために、床点検口が開けられて釜場が覗けて、釜場に降りるためにタラップが設けられます。

地下ピットの点検

コンクリートの地中梁と底盤床に囲われた地下ピットは、万が一何か起こった際にいずれのピットにも辿り着いて点検ができるように、梁には人通口が開けられています。

地下水の進入がなければ、乾燥状態が続く場所ですが、経年の地下水の変化や建物の変化により、地下水が進入してしまったときに対応できる仕組みが設けられています。

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