大学キャンパス体育館施設の防音吸音音響設計

東京世田谷の大学校内に地上6階の「教室棟」と地下2階地上2階の「スポーツ棟」(地下プール+地上体育館)の建替え計画について「古橋建築事務所」様が設計・監理され、「スポーツ棟」の設計・監理を北島建築設計事務所が担当協力させていただきました。

体育館で発生する音

体育館では様々な球技や運動、ダンスなどが複数単位で行われます。

すると、

  • 投げられた球が壁や床に当たった衝突音
  • 生徒が疾走したり跳躍したときの床の衝突音
  • 大きな掛け声や奇声

などが常に発生します。

吸音(消音)の必要

体育館内で発生した衝突や声は音になって体育館内に伝搬します。

体育館は音に対する配慮をしなければ、床・壁・天井ともに硬い板貼りになることが多いため、硬い板は音を消すことなく反射させます。反射した音は進み続けて、いつしか音の発生場所に戻ってきます。

音は全方向に響いて進みますから、反射音も様々な方向から戻ってきます。反射音の到着は反射する場所の距離によって変わるので、反射面が多いと長い間 反射音が聞こえていることになります。

すると会話や掛け声の内容が反射音と重なって聞き取りにくい状況になリます。

そこで発生した音を反射させない仕組み=音を吸収する壁や天井にさせる必要があります。

壁と天井が吸音面

音が反射しないようにするには、壁や天井の板になるべく沢山の穴を開けて、穴を通過した音を壁の中に吸い込ませてしまう方法です。

体育館の室内に面する板に穴を開けて、裏側に多少の空間を空けて、その奥に綿の様な吸音材を設けて、穴を通過した音が吸音材に吸い込まれて、板の外に出ないようにしてしまいます。

ボールが当たると吸音壁が割れる

体育館内で行われる運動や球技では、壁に身体や球が当たります。

吸音のために開けた穴の割合が高過ぎると壁は身体や球の衝撃に耐えられずに割れてしまいます。

そこで板に開ける穴の割合は吸音性能を維持出来るまで最小限にして衝撃に耐えられるようにして、かつバスケットゴールの周囲は穴の開かない板を貼り付けることにしました。

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