木造2階建て賃貸アパートの住戸面積と間取りプラン

東急東横線 中目黒駅が最寄り駅となる住宅街の中にある場所の、木造2階建ての賃貸アパート計画の住戸の面積広さと間取りプランは、

  • 敷地位置による入居者様想定
  • 最近の入居者様の暮らし振り
  • 選ばれて長く入居してもらえる家賃想定

を考慮しながら検討されました。

入居者様の想定

  • 中目黒駅の利便性の高い最寄り駅
  • 渋谷駅にも歩いて行ける

という立地から、20歳代~30歳代という比較的若い世代で、都心に勤める独身の方 もしくは 共稼ぎ夫婦 を想定されました。

昼間はアパートから出掛けて勤務をされて、夜は帰宅される方々です。

各住戸の面積

想定した方々から家賃をいただくので、負担にならないような金額を周囲の物件家賃を情報収集して参考としながら設定し、各住戸の面積の目処を定めました。

20m2前後 と 30m2前後 を想定されました。

1階と2階の間取り住戸タイプを変える

大家様は、全ての住戸を同じ間取りプランにすることを避けました。

1階と2階の住戸数を変えて、間取りプランが異なるようにされたいとご希望されました。(各住戸の間取りを一緒にしないことは、入居者様から家賃の違いについて質問を受けたときに、説明が付き易いメリットがあります)

1階と2階の各住戸をどのように変えるか?=各フロアを2等分にするか、3等分にするかが検討されました。

  • (1)1階:2住戸、2階:3住戸・・・計5住戸
  • (2)1階:3住戸、2階:2住戸・・・計5住戸

建物全体は各住戸の専用玄関が全て地上にあるため、2階住戸への階段も各住戸毎に必要になります。2階に3住戸を計画すると、階段が3つとなり、1階の住戸に大きく影響を与えて邪魔になるために、結果、(2)1階:2住戸、2階:3住戸・・・計5住戸 とされました。

間取りプラン

間取りプランを検討するに当たって大家様からのご希望は、

  • リビング(寝室)を広くする
  • リビングと水廻り室を分ける
  • トイレは水廻り室と独立させる
  • 洗面と洗濯機置場は同じ室で良い
  • 収納は出来るだけ多く設ける

とされました。

限られたスペースで、各室の間取りプランが検討されました。

限りある広さの間取りプランの場合、出来る限り通路を小さくする、もしくは無くすことです。

当初 描かれたプランは、何度も検討が重ねられて通路部分が省略されて、リビングが段々と広くなっていきました。

1階

住戸が3つ並ぶ1階は、2階の玄関と上下階段もあります。

住戸は細長い「うなぎの寝床」のようになり、玄関ー水廻り室ーリビング(寝室)という構成になります。

採光確保のための出窓

建築基準ではリビング(寝室)には採光が一定以上確保される規制があります。

部屋の広さに応じて、

  • 開口窓の大きさ
  • 開口窓の隣地境界からの離隔距離
  • 開口窓の屋根からの深さ

によって、算定式があり、一定以上の採光を確保しなければなりません。

建物を敷地の空地がなくなるまで大きく建てるために 隣地境界からの離隔距離が長く確保できないために、規制の数値をクリアすることが中々困難で、規制をクリアするためと、実際の採光環境を良くするために、部屋の一部を出窓の様に突出させて採光窓を確保しました。

(この採光確保の規制とは別に、平成31(2019)年4月から東京都の建築安全条例の改正により、外壁が隣地境界線から50センチ後退するが義務付けられました。設備機器も対象となるために、エアコンの室外機や給湯器、電気ガスのメーターの設置場所確保が必要になります。)

トイレの独立と水廻り室の集約

水廻りの部屋の動線通路の集約を行なって、リビングの面積拡充が検討されました。はじめに描かれたプランから、少しずつ少しずつ通路を省いて行き、入居者様の利便性を考慮を考慮しながらも水廻り室の通路動線が無くされていきました。

その際トイレはリビングからも水廻り室からも独立させました。

木造賃貸アパート間取りプラン

トイレをリビングから直接入れない様にしたり、水廻り室とトイレを離すのは、複数の人の在宅される場合の水廻り室とトイレの同時使用や、水廻り室のプライベートを確保するためでもあります。

2階

1階の住戸が3つに分けられた上に、2階は2つの住戸が載る形になりました。

木造賃貸アパート断面

1階玄関は建物の両端に配置され、玄関を入ると直ぐに階段があり、踊り場の無い鉄砲階段で2階に繋がっています。

下駄箱の位置と階段床の仕上げ

地上の玄関を開けると2階の住戸につながる階段が始まります。地上部分の玄関に広さの余裕があれば、その辺りに下駄箱を設けますが、余裕がなかったため下駄箱は階段を上り切った2階に設けました。

北側隣地斜線制限の影響

敷地は「第一種低層住居専用地域」の用途地域で、北側隣地境界線からの高度斜線高さ制限内に建物を建てなければなりません。道路斜線制限の様に緩和規定が無いので、隣地境界に建物を近づけて建物を建てると、建物形態に影響が出る規制です。

このため、建物の2階の1部は屋根を削られる形になりました。

木造賃貸アパート吹抜高天井トップライト

内部の壁と天井に影響して、北側高度斜線規制の角度が内部にも表れています。

引き戸の間仕切り

2階の住戸は、リビングとキッチン・ダイニングとを区分れる広さがありました。居住者様に広くワンルームで住まう方法と、リビングとキッチン・ダイニングとを区分けして住まう方法を、自由に選んでいただける様に、区分け間仕切りを3連の引き戸にして選択できる様にしました。

引き戸を開放しておけば、リビングとキッチン・ダイニングがつながったワンルームで住戸を広く使用出来ます。引き戸を引いて閉めればリビングとキッチン・ダイニングを区切ることができます。

木造賃貸アパート吹抜けLDK

木造賃貸アパートLDK間仕切り建具

木造賃貸アパートLDK間仕切り建具

吹き抜けと飛び梁とトップライト

2階は天井を張らないで、屋根下小屋裏まで吹き抜けにしました。天井はとても高くなって部屋の容積も増えて、梁も頭上を巡ってダイナミックな住戸になっています。

木造賃貸アパートLDK吹抜けトップライト

さらに吹抜けの上部には天窓トップライトを設けて、日中は照明の要らないくらいに明るい住戸になれました。

同じ面積でも天井が張ってある部屋に比べれば、こちらの2階は容積が大きくなるので、近隣の同様な物件との比較になった場合は、選んでいただける様な特徴を持たせました。

リビングダイニングの吹き抜けの照明

天井を張らずに屋根下小屋裏まで吹抜けにした空間の照明は、梁の高さにライティングレールを巡らせる様に取り付けました。

入居者様が自由に照明器具を足したり引いたり出来て、場所も自由に選べる方式です。

常備の照明は、拡散型のスポットライトを備えておいて、

  • 器具を床に向けて、手元照明環境を明るくする
  • 器具を小屋裏に向けて吹抜けを照らして部屋全体を柔らかい照明で包む

と、演出出来る様にしました。

トイレの独立と水廻り室の集約

まずトイレは水廻り室とは独立させて直接出入りが出来る様にしました。

そしてユニットバス・洗面脱衣洗濯室は使い勝手、将来の配管改修を容易に出来る様に北西側に集約させました。

木造賃貸アパート間取りプラン

水廻り室は入居者様の利便性を高めるために集約した間取りにされました。これは同時に、配管や配線の集約にもつながり、将来の改修工事に配管の取り替えが最小限になることにもつながります。

キッチンは、ダイニングを狭くしないように、壁付けタイプにされました。

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