大学キャンパス体育館施設の地下屋内プールの耐水耐湿防錆吸音床壁天井仕上げ材料

東京世田谷の大学校キャンパスの「体育館」の建替え計画で、敷地の制約から、地上に体育館、地下に屋内プール を重ねた昭和女子大学の「西体育館」の計画は、「古橋建築事務所」様が設計・監理を行い、北島建築設計事務所は意匠の設計と監理を担当させていただきました。

屋内プールの内装工事では、

  • 湿度が高く=カビが発生し易い
  • 利用者様は水着=傷付き易い
  • 消毒塩素=金属が錆び易い

という厳しい条件に満足できるものでないといけません。材料選びは慎重に行われました。

耐水・耐湿材料

床にはプール水が常に掛かり、室内は湿気が充満している状況で結露した水が壁を伝います。

幾度もの検討の結果、プールサイドの床や壁は磁気質タイルがコストの面からも施工性の面からも最適であることが結論付けられました。

  • 水分が浸透しないこと
  • 表面が硬く清掃が容易なこと
  • 費用が安価で耐久性が高いこと

などで、他に同等評価を得られるものは有りませんでした。

防滑・滑らない床材

プールサイドの床は裸足で歩き水着のまま座るので滑りにくい材料であることが必要です。

磁気質タイルの中で表面がザラザラしていて水がかかっていても摩擦度が高く、肌にも痛くないタイルが選ばれました。

排水溝の蓋も金属ではなく滑り止めのついた樹脂製のスノコグレーチングが選ばれました。

防錆・錆びない材料・器具

プールの水には消毒のために塩素水が大量に含まれています。

この塩素が金属に触れると金属は錆びてしまいます。

そこでプールの中で使用する金属 すなわち 手すり、扉、設備間、照明器具などは錆びにくいステンレスが使用されました。

吸音・音を吸収する材料

以上のように水が滴り湿気が充満するプールでは床、壁、天井の内装材は水と湿気を跳ね返す材料になります。

するとそこはそこで音を発するとその音は全て反射音になりいつまでも響き渡ります。音が響き渡ると後から発した声と被り音が多重に聞こえて聴きづらい音響環境になります。

このような状況になることを避けるために、天井と壁の一部に吸音性能のある材料を設置しました。

天井は「NDC社 カルム材」という金属製の吸音材で、壁の上部には「八木惣株式会社の吸音タイル」という吸音タイル(上記写真のクリーム色の壁タイル)を貼り、プール内の残響音を除去するようにしました。