公共の「児童預かり」事業
東京都心の公共事業で、ご家庭の事情によって保護者が児童を養育できない状況になったと判断されたときに、児童を一時預かりする事業施設が必要で、既存の共同住宅の一部を用途変更して「児童福祉施設」として整備することになりました。
児童の保護=特殊建築物
児童を一時的に預かる施設になるので、見た目は住宅でも「不特定の人々」が利用する施設になり、建築基準法としては「特殊建築物」の用途になります。
そのために、共同住宅のままの施設利用でも、建築基準法、バリアフリー法、消防法、関係条例における「用途変更」の届け出が必要になり行うことになりました。
法改正と緩和措置
2019年の建築基準法の法改正により、200m2未満の用途変更は確認申請の届け出が不要になりました。
ただしこの緩和措置は、建築基準法だけであり、消防法やバリアフリー法、関係条例には適用されないので届け出が必要であることの注意が必要です。
用途変更出来るかの確認
はじめにそもそも今回の既存共同住宅の1部を児童福祉施設に用途変更が可能かどうかの確かめを行いました。
共同住宅と児童福祉施設では、避難設備やバリアフリー法定の整備設備の基準が異なるからです。
関わる担当窓口にそれぞれ相談確認に参り、共同住宅から児童福祉施設に用途変更が可能かどうかの確かめの作業が行われ、確かめられた後に、本格的な申請業務が進められました。
室内のレイアウトもほとんど変わりはありませんが、構造荷重の詳細な確かめや、内装制限の変更が行われました。
児童福祉施設の詳細規定
児童福祉施設の用途部分に必要な基準の代表的なものは、特殊建築物として共同住宅と同じですが、共同住宅には緩和措置があり、その緩和措置が児童福祉施設には適用できなくなる変更点が多々ありました。
既存建物の適法確認
法令上用途変更が可能であることが確認できても、既存の建物が建物完成時に検査を受けて完了検査済証が発行され、その後も違法な増改築等がない適法な建物でないと、そもそも用途変更はできません。
消防法の変更・複合建築物
既存の建物は共同住宅と言う単一の用途で、消防法上も同様な扱いで消防設備が設置されていました。
今回、他の用途が加わるために消防法上は複合建築の扱いになり、消防設備の多少の追加が必要になりました。
バリアーフリー法
既存の建物が完成した年代から後に整備された法令としてバリアフリー法や福祉のまちづくり条例などがあります。
体の不自由な方でも自由に利用ができることを目指して建物の障害をなくす整備基準の法令ですが、既存の建物を現在の法令に適合させる事は可能な部分と困難な部分があります。既存の建物の部分を適合する基準に整備できない場合には、人的な対応により、万が一 身体にに不自由がある方への付き添いを行って補うこととしています。
その他条例
新しく建物を建てるときは、周囲の既存の住民の方々に、新たに立てる建物の影響について説明をしたり、その地区における特別な規定や条例を守って立てる必要があります。
今回の用途変更では建物の外見の変更は全くなく、周囲の住民の方々への影響はないと判断されて届け出が不要なものもありました。
届け出のスケジュール
用途変更の届出は、建物自体の内容がほとんど変わらないので、非常に簡単に短期に済むものと思われがちですが、それでも半年以上の月日を費やすことになりました。
用途変更を行う際には、建て主様関係者様皆様のご理解と我慢が必要になります。
—北島建築設計事務所が行った用途変更など申請手続き実績説明—
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