東京の事務所ビル建物の地下2階に、地上道路を走る自動車をカーリフトで地下2階まで降ろして自走して自動車を収納していた駐車場がありました。
建物の完成から年月が経ち、自動車を利用する需要がほとんどなくなり、賃貸駐車場としても利用がなくなってしまい、駐車場部分を倉庫として利用したい建物所有者様のご希望をいただきました。
この場合、駐車場から事務所の倉庫への建築の用途変更申請手続きが必要になります。
この手続き自体には問題はないのですが、倉庫への用途変更により、
- カーリフト → 人荷用エレベーター への手続き
- 面積変更の手続き
- 構造的荷重条件変更の確認
- 附置義務駐車台数変更の手続き
- 消防設備の変更手続き
が必要になりました。
2018年6月の建築基準法 改正で、用途変更の手続きが不要となる面積が 100m2 → 200m2 となりましたが、その他の法令の緩和規定がないため、該当する法令は手続き申請が必要になるので注意が必要です。
カーリフトを人荷用エレベーターに取り替える確認申請
カーリフトは運転手が同乗する自動車のみを上下させるもので、人や荷物を自由に運べる 私達が乗り降りしているエレベーターとは異なるものです。
今回はこれを人荷用に取り替えなければなりませんでした。エレベーターの設計・申請・工事はエレベーター製作会社様が一式を執り行います。
構造的荷重条件の変更の確認
駐車場であった部分を倉庫に変更する場合に、倉庫として積載するものを具体的に想定しました。
実際は衣料品でしたので、計算すると駐車場の積載荷重を下回ることが確認できました。
附置義務駐車台数
建物が建っている地域は建物の用途と規模によって駐車場スペースの確保が義務付けられている「駐車場整備地区(東京都駐車場条例)」です。
既存建物が完成したときは、1台の自動車の駐車スペースの確保=附置義務駐車台数 が必要でした。
今回、地下の駐車場を倉庫に用途変更するにあたり、その附置義務駐車台数は変更できないので、どちらかに駐車場を整備しなければなりませんでした。
駐車場条例には、自らの敷地内で駐車スペースを確保できない場合は、周囲の敷地に駐車スペースを確保する緩和規定があり、偶然にも隣地の建物が同じ所有者様で、さらに駐車スペースにも空きがあるので、本建物の駐車スペースを隣地に移すことになりました。(隔地(かくち)駐車場)
いくつかの申請届出と確認を経て、用途変更ができるようになりました。
—北島建築設計事務所が行った用途変更など申請手続き実績説明—
以下の各行文は 用途変更を行なった際の解説記事の題名リンクです。ご興味ある内容をクリックして解説記事をご覧ください。
- 大型住宅を独身寮に用途変更
- 用途変更申請手続きとRC造耐震診断
- 埋蔵文化財調査と手続き
- 整骨院・デイケア福祉施設の開院内装工事で用途変更@三鷹
- デイケア福祉施設のバリアフリー条例の手続と工事@三鷹
- 藤巻歯科医院の保健所届出
- 調剤薬局の建替え工事中に仮設薬局店舗を建てる
- 仮設調剤薬局建物を通常確認申請か許可申請か
- 第1種低層住居専用地域に調剤薬局を設ける許可申請
- 道路内の三角形敷地に駐車場管理事務所を建てる許可申請
- 市街化調整区域内のグループホーム建物の用途変更許可申請
- 日中サービス支援型グループホーム寄宿舎への用途変更許可申請
- 賃貸オフィスビルの階段増築確認申請
- 事務所を物販店舗に用途変更確認申請
- 賃貸事務所ビルの計画のお知らせと住民説明
- 賃貸事務所ビルの建築確認申請図書と設計図面
- 賃貸事務所オフィスビル仮設工事と近隣建物の家屋調査
- 公衆浴場温浴施設の届出許可申請
- 一級建築士による物販店舗の建築基準法定期調査報告書
- 和風二世帯住宅の計画変更手続きと軽微な変更届出
- 物販店舗建物を飲食店舗賃貸物件に用途変更
- 用途変更確認申請が可能かどうかの確認と手順番流れ
- 用途変更建築確認申請の着手前に確認しておくべき内容や条件
- 用途変更確認申請に関連する法律条例規制基準
- 用途変更確認申請を行う既存建物の現地確認調査
- 用途変更確認申請の関係法令役所協議確認
- 用途変更確認申請の構造設計耐荷重条件の変更と確認
- 既存建物の屋上広告塔の取り扱いと撤去
- 店舗内の上下階段を撤去して吹抜けに床を設置する増築申請