東京目黒の路地状道路の行き止まり先の敷地で、道路境界を定める「狭隘(きょうあい)道路協議」を始めているときから、この敷地に建てる建物の種類(用途)の検討は並行して建て主様と行なわれていました。
賃貸アパートを建てる
ご相談の当初は、自宅か賃貸アパートどちらかを建てるとお考えでしたが、時間が過ぎて検討が進み賃貸アパートの建物を建てることに定まりました。
すると「どれだけ最大に広い面積のアパートを建てられるか?」という課題になりました。
敷地の大きさなどから、2階建てくらいの高さの建物までしか計画できない規制があって、建物の型をどちらの種類「共同住宅型」か「長屋型」の、どちらで建てるか?の検討が行われました。
建築基準法の用途「共同住宅型」か「長屋型」
建築基準法上、建物はいずれかの種類=用途に分類され、その建物の規模や用途に応じて、避難施設や防火性能の規制が定められています。
またこれに加えて、東京都内では「東京都建築安全条例」が定められています。(さらに詳細な規定があります)
こちらの敷地では、賃貸アパート計画の場合、建物用途を「共同住宅」か「長屋」か、どちらかに選択できました。
どちらが良いか、面積や効率を比較検討した上で絞り込むことにされました。
共同住宅型?
建物に玄関が1つだけある住まいは戸建ての専用住宅です。
この住宅が1つの敷地の中に複数合わさると「共同住宅」か「長屋」に分類されます。
この複数の住宅がある場合で、それぞれの玄関までの通路や階段を共用物として設ける建物を「共同住宅」としています。
長屋型?
住宅の玄関が全て地上階にあって、2階以上にある住戸には地上1階の玄関から各々専用の内部階段が備わっている建物を「長屋」としています。
共同住宅型か長屋型か
四周を他人の住宅宅地に囲われている一辺の長さが15メートルを下回るくらいの敷地では、共同住宅を計画しようすると、玄関や共同通路を設けるスペースと、玄関とは逆側の外部に避難用バルコニーと避難通路を設けるスペースを確保することが困難になります。
そしていくつかの高さ制限や容積率を含めて検討すると、長屋型の方がより賃貸専有面積を広く確保出来ます。
よって今回は「長屋型」で賃貸アパートを計画されることになりました。
なお、東京都においては、旗竿状敷地内には共同住宅は計画出来る場合と出来ない場合があります。各市町村によって規定が異なります。
東京都の場合、東京都建築安全条例にて詳細な規定があり、同条例 第10条にて、「特殊建築物は、路地状敷地(旗竿状敷地)に建ててはいけない」と規制されています。ただし、「共同住宅で、階数が3以下かつ延べ面積200m2以下 かつ 住戸数12以下 かつ 路地状部分の長さが20m以下であれば可」とされています。
更に、同条例 第17条で、面積に応じて「主要な出入り口から道路までを1.5m~3m以上確保すること」が必要とされています。
また、同条例 第19条にて面積に応じて「窓先空地が必要となり、敷地内避難通路 又は 道路と接続」する必要があります。
長屋型にするメリット
比較的広くない敷地に「長屋」型で賃貸アパートを計画する場合のメリットは、
- 避難用の外部通路が最小限で済み、建物外周部でも避難通路幅が50センチ確保できれば良い。
- 2階住戸への階段は、各住戸内の専用階段になるので、賃貸専有面積を上げられる。
- 専有バルコニーが不要。
- 旗竿地に建築可能。
長屋型のデメリット
- 3階への専用階段の効率が悪いことから、3階建てが難しくなる。
となり、四方を住宅で囲まれた敷地における賃貸アパート計画では、長屋型がメリットが多いと判断できます。
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