横須賀市の北久里浜駅至近の「太田整形外科」様から「X線室の開き扉を引き戸に取り替えてくれないか?」と言うご相談をいただきました。
入念な現地確認・ご相談・設計・工事によって休院しないで扉を交換することができました。
開き戸が通路を塞いでしまう
既存の医院のX線室の出入り口には、片開きの開き戸が設置されていました。X線機器の搬出入や車椅子患者様の出入りも鑑みて、大きな扉でした。
扉は通路に向けて開く形になっていて、出入りのために扉を開けると、開いた扉が通路に飛び出して、扉が開いている間は通路の往来を止めてしまっていました。
院長先生やスタッフの皆さんはこの状態に不便を感じておられたそうです。
開き戸を引戸に交換する
不便を解消しようと思われた院長先生は、下の記事を見られて、開き戸を引戸に交換できるということを知っていただき、当方にご相談をいただきました。
▶︎▶︎ 関連解説記事「整形外科医院のレントゲンX線室の開扉を引戸に取替え」
今のX線室の開き戸を引戸に交換したい、出来るかどうか、現地を確認してもらいたいとご相談をいただきました。
現地確認
医院にお邪魔して、X線室の開き戸を引戸に交換出来るかを調査させていただきました。
今ある扉の壁に付いている枠をそのままに、新たな引戸をX線室の内側に取り付けて、既存の開き戸を撤去すれば、院長先生のお悩みは解決できることを確かめました。
休院しないで取替え工事を行う工夫
院長先生にX線室の開き戸を引戸に交換出来ることを説明したところ、「休院しないで取り替え工事は可能か?」というご相談もいただきました。
綿密な図面検討と工事日の計画
どのような「引戸」にするか、綿密に図面を作成して検討が行われると同時に、「どのように造るか?」も検討されました。
工事する日程を2日間にして、各々の工事の分量を少なくして確実に終わる工事内容にして、院長先生に時期を隔てた医院が通常お休みの2日間に工事をさせていただくことにして、ご了承を得ました。
2日間に分ける工事
時期が離れた2日間の工事を以下の様に予定しました。
- 最初の1日目には、引戸の枠を取り付ける
- 次の2日目には、引戸を取り付け、既存開き戸を撤去する
という順番にしました。
初日の工事
扉の設置は、扉を支える枠を壁に取り付ける作業が大変重要です。既存の壁や床に枠を取り付ける作業に支障が出ないかどうかが心配内容のひとつです。
事前には既存の壁の中身 (枠を固定する下地の有無) を調べますが、壁を壊して中身を見ない限り、枠を固定する下地の有無が分からないことが多く、当方で検討した通りに枠が取り付けられるかどうかは分かりません。あらゆる可能性を想定して材料と道具を揃えて、枠の取り付けに臨みました。
上枠の取付け
引戸を上側で吊って移動させるための上枠の取り付けが行われました。
幸いにも取り付ける部分の壁中に枠を固定する下地があり、そちらに上枠を固定出来ました。
X線を遮蔽する扉には 厚み1.5ミリの鉛板が貼られるため、扉は非常に重たくなります。(二人の男性でやっと運べる重さ)その扉を上から吊るように並行移動させるので、上枠は頑丈にならないといけません。
下枠レールの取付け
今回の引戸は鉛板が貼られて非常に重いので、上枠だけではなく下枠も取り付けてそのレールの上を扉が移動できるようにもしました。
下枠レールは、床下のコンクリートに固定出来ました。
下枠レールの取り付けは、患者様の往来に支障がないか事前に確かめていただくためでもありました。下枠レールは床から5ミリ程度 出っ張ります。
2日目の工事
事前に取り付けた下枠レールは、患者様が出入りするのに支障がないことを院長先生からお知らせをいただきました。
照明コンセントとエアコンリモコンを移動する
はじめに 引戸が引き込まれる壁の部分にあった、照明用コンセントとエアコン用リモコンを邪魔にならない場所まで移動しました。
引戸を取り付ける
次に引戸を上枠に取り付けました。(扉自体を枠に取り付けることを「扉に吊り込む」と呼んでいます)
下枠レールに乗せて、扉がスムーズに動くか調整がされました。
取手金物を取り付ける
引戸を開閉させる際の取手が取り付けられました。
扉を開閉される方が、手を挟まないように、手を引き込まないように と 取手の位置が慎重に選ばれました。
開き戸を撤去する
引戸が設置された後、既存の開き戸が撤去されて、搬出されました。
完成
これで完成です。
後日、放射能遮蔽検査が行われて合格し、休院することなく、診療が再開されました。
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